Week3 @SD 褒め殺し

 エイブラハムが公務執行妨害で逮捕されましたが、何回記事を読んでも意味不明だったのでスルーで。しかし2週連続逮捕とは、これもスワッガー効果なのかなんなのか。


 私に「完璧」という言葉を使わせたこの試合、厳密に言えばもちろん完璧なわけではありません。最初のTD後のPAT失敗(新人LSハリスのスナップミス)、ファーストダウンやTDが反則で取り消し、エンドゾーンまで攻め込みながらのライアンのINT、やっぱり止められなかったランディフェンスなどなど、その気になればいくらでも問題点を挙げる事ができます。人によってはスコアを見て、たった27点しか取れず何が完璧かという人もいるでしょう。
 しかし、それでもなお私はこの試合に完璧という言葉を贈りたい。なぜなら「完璧に練られたゲームプランとそれを忠実に実行する選手たち」というアメリカンフットボールの理想とも言える姿を見ることが出来たから。
 そう、私が何よりこの試合で評価したいのは素晴らしいゲームプランであり、それを構築したコーチ陣なんです。
 これまで何度かそれと分かるようなことを言ってる気がしますが、私はベリチック、ワイス、クレネル時代のパッツのファンであり、またショーン・ペイトンのファンです。彼らは選手の力を引き出すのはコーチの力であり、純粋なタレントの差で勝負が決まる訳ではないという、NFLの奥深さを私に教えてくれた人々です。そしてこの試合のファルコンズコーチ陣は彼らに匹敵する凄みを感じました。


・ファーストシリーズ
 プレイコールと選手個々の力が完全に合致した珠玉の一品。しょっぱなのフリオへの19ヤードパスを皮切りに(ちなみにフリオはこのプレイで手を痛めしばらく離脱)、ゴンザレス、ロディ、そしてクイズと、パスを縦にも横にも散らしつつ行軍。合間にランもしっかりはさむ。私が展望編で言ったような、ウェドルを避けるということもせず、レシーバーを信じてしっかりと投げ込む。これだけ散らされればディフェンスもどこに集中すればいいか分からなくなります。
 最後はプレイアクションからクイズへのミドルスクリーンで締めましたが、ディフェンスは全く読めてませんでした。このシリーズ、まず褒められるべきはライアンの正確な判断とコントロール、そしてその土台となったOLのプロテクションですが、それらの力を完全に引き出したコエッターさんも同等に評価したいです。TD後、ロディから思いっきり頭突きで祝福されてふらふらしてたクイズも可愛くって良し。


・ランオフェンスとプレイアクション
 過去2戦よりましとはいえ、この試合も序盤はランはあまり機能しませんでした。しかしそれでもパスが絶好調だからといってそれだけに頼ろうとはせず、我慢してランもコールし、またほぼランと同等といっていいようなダンプオフも使っていきました。そのお陰でこの試合もプレイアクションは常に機能し(ESPNによるとプレイアクション時のパス成功率は7/7)、反則で取り消しになったけど、ロディへの40ヤード一発TDなんかも決まりました(このプレイではカメラマンも騙されてた)。
 さらに相乗効果として、プレイアクションを恐れてディフェンスがランを積極的に止めにこれなくなったことも手伝って、終盤にロングゲインが連発、結局ターナーはトータル80ヤードという期待を上回る結果を出しました。これは1プレイ単位ではなく、試合全体を見据えてランとプレイアクションをコールし続けたことによる部分が大きいと思います。ライアンは40回も投げてますが、決してパスだけで勝ったというわけではない、ランパス比率1:2のバランスアタック、お見事でした。ターナー、クイズ、スネリングの起用バランスも文句ありません。去年から待ち望んでいた姿がやっと見れました。あ、もちろんランブロックもこれまでよりずっと良かったです、パット親分乙。
[追記]
 プレイアクションのおかげでランが出るようになるって、以前同じようなことを書いたなーと思ったらこの試合でした。まさかコエッターさんがショーン・ペイトンの域に達しているのか。昨年リーグ32位のオフェンスを率いたコエッターさんが。


・ノーランマジック
 先週の3INTについてメディアはもっぱらマニングの衰えにばかり注目してましたが、アレが間違いなくノーランディフェンスの力によるものであるということは、この2週のファルコンズの試合をちゃんと見ている人には分かるはず。
 この試合もリヴァース相手に2INT。もちろん大戦果を挙げたデクーは素晴らしかったですが、それも全てはリヴァースにしっかりプレッシャーをかけれたからであり、プレッシャーがかかったのはリヴァースとSDのOLをディスガイズによってパニックに陥らせることができたからです。
 どこからブリッツがくるか、誰がダウンフィールドに下がるか、画面で見ていても予想がはずれるはずれる。相対しているリヴァースの脳味噌には実際にかかっているプレッシャー以上の負担があったはずです。後から見れば、他にワイドオープンの選手がおり、リヴァースの判断ミスに見えるような場面も多いですが、ノーランとしてはある程度フリーになるレシーバーが出たとしても、QBをパニックさせるということを優先していたのだと思われます。
 ディスガイズによって混乱するのはQBだけではありません、OLもアサインメントに相当苦労しており、3メンラッシュでもプレッシャーを与えられていたのは単純なOL対DLの力量差だけの問題ではなかったと思います。
 リーグ屈指の正確さを持つプロボウルQB二人に連勝したノーランディフェンス。複雑なディスガイズを見事に纏め上げたノーランと、それを忠実に実行した選手達、いや本当に良い物を見せてもらいました。


・ランに対する戦略的敗北
 過去2戦と比べても特別ランを止めるための変化もなく、この試合もランは普通に出され、またビッグゲインもいくつかありました。これに対し失望を覚える人もいるでしょう、が、私はむしろこの無策っぷりを評価したい。
 ノーランとしてはあくまで標的はパスであり、ある程度ランを出されても仕方ないという覚悟で臨んだのではないかと思います。つまり、ランは多少出されてもそれだけで負けるということは少ないが、パスの場合は一気に持っていかれる可能性がある、それならば下手にランディフェンスに力を入れて、ディスガイズのバランスを崩すことはない。逆に言えば、パスディフェンスのバランスさえ維持していれば、ランはどこかで止まるはずという自信もあったはずです。
 その結果SD相手に3失点。ポリシーを貫き見事に成功に繋げました。またこのランに対する無策はオフェンスに対する信頼も伺えます。パスディフェンスさえ大崩れしなければ、多少ランで失点しても、きっとオフェンスがそれ以上に得点してくれるはずだという信頼が。


・いつも心にターンオーバー
 ターンオーバーレシオが良いのはスミッティ就任以来の伝統で、いかに彼がこの点を重視しているかよく分かりますが、それにしても今年はターンオーバーに対する意識が非常に高いです(奪ったのが11で失ったのが1、トータル+10)。
 ディスガイズ&プレッシャーによるINT量産もさることながら、ボールキャリアーに対する当り方が完全にファンブル狙いというものがとても多い。結果としてこの試合も2ファンブルリカバー。これは決して相手のミスだけの問題ではなく、狙って勝ち取ったものといっていいのではないかと。つまり完全にゲームプランや日々の練習の中に「いかにターンオーバーを増やすか」ということが組み込まれてると思われます。そしてこのターンオーバーで得たチャンスを確実に得点に結び付けているというのが一層素晴らしい。


 うーん、我ながらここまで誉め倒すとちょっと歯が浮きます。でも実際良かったから仕方ない。問題はこれを継続できるかですね。上では挙げてませんが、マンデーナイト明けでアメリカ横断という厳しいスケジュールの中、完璧な準備(スカウティングも含む)をしてチームをきっちり仕上げてきたスミッティその人ももちろん素晴らしいの一言。あと4勝ほどでチーム歴代最多勝利HCとなるらしいので、一気に上り詰めて頂きたいところです。

 その他個々の選手たちについてもいくつか

CB/PRドミニク・フランクス
 先週あれだけ非難しましたが、今週は見違える出来。結局ニッケルはマクレインではなく彼のままでしたが、ほとんど穴になるようなことはなく、ディスガイズ&プレッシャーの恩恵もあったとは言えリヴァースを向こうに回して上々の内容。さらにPRでもナイスリターンを見せ私の信用度一気にアップ。もう一週続けられたら信じてあげます。

Sデクー&ムーア
 後出しもいいとこですが、以前から二人ともこれくらいは出来ると思ってました、いやマジで。悪いのは髭。

TEトニー・ゴンザレス
 本当に彼のプレイを見ていると「プロ」の何たるかをまざまざと思い知ります。大分前にも言った気がしますが私から見てこの人の一番凄いと思うところは「理解力」。自分が何をすべきか、自分に何が出来るのか、相手が何をしようとしているのか、相手に何が出来るのか、こういった様々なことを恐ろしいほど精確に理解しているというのが本当に凄い。これほどの男がリングを手にできないなんて間違っている。

CBアサンテ・サミュエル
 サミュエルはタックルが下手とか、そもそもタックルしようとしないなんてデマをまき散らかしたのは誰だ。このスワッガーの存在はクソでかい。

DEクロイ・ビーアマン
 先週のマンデーナイトでもチャッキーが取り上げてましたが、ノーランディスガイズのキーマン。彼が最も複雑で柔軟な動きをしており、実質3-4OLBとして見た方が適切かもしれません。まさかのアトランタのテレル・サッグス化(言いすぎ)。

Pマット・ボッシャー
 去年からカバーチーマーとして何回見事なタックルしてるんだ。そもそもこいつがタックルしなきゃいけない状況になっているというのは大問題ですが。

RBクイズ
 ランやレシーブも良かったですが、何よりも素晴らしかったのがブリッツピックアップ。見た目に騙されると痛い目見ますよ。 

LSジョシュ・ハリス
 ミスは誰でもするもの、これを糧に成長して欲しいです。ただ以前からPATのたびにころころ後ろにすっころんでるのが可愛いらしいけど少し気になります。もともとかなり軽量(225lbs)なのを指摘されてたので、大事な場面でやらかさなければいいのですが。

LTサム・ベイカー
 本物。一回だけアントワン・バーンズのインサイドラッシュに完敗してサックを許した以外はほぼ完璧。これをもって、ベイカーさんと呼ぶのはしばらく封印します。いつでも戻しますけどね。
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この記事へのコメント:

redgun1978 : 2012/09/27 (木) 12:13:07

新境地ランじゃないボールコントロールO#をチームやライアンやファンや私は見つけたと感じます。昨年勝つけどなくなんかうまくいかねーなと感じてた違和感が「パスに騙ったバランスオフェンス」を作れてなかったことだと、今ここのほとら考察で気づきました!。終わってみてパス40回とか50回なげてたんだーと気づかせるさりげなさ、ゲーム中にパスプレイしかないじゃんと感じさせない微妙なバランス、感覚的な部分が鍵ですかね。D#もブリッツくるの?結局こないの?とかディレイでくるの?CBブリッツなの?とQBパニックを引き起こしたり、ハードヒットを含めての恐怖でWRのドロップも誘発できたりと、感覚に訴えかけることで真価を発揮していきそうです!5感・6感もシステムに組み込まなくてはいけないのか。いまさらながら相手の100%を出させないことってD#重要ポイントですねー。相手のMAXパワーを受け止めることなんかよりはるかに効率的。
あとこの流れでいくとムラキでコンサバリアルバランスO#を学んだJAXがMJD君衰えてきたなーと感じるであろう4年後くらいにコッターのパス偏重感覚的バランスO#を導入なんてレールが早くも敷かれてそうですw

ほとら : 2012/09/28 (金) 07:49:57

 すみません、オフェンスに関しては記事のネタにさせてもらいました。ちょうど試合単位でなくシーズン単位(といってもまだ3試合ですが)でコエッターさんについて書いてみたいと思っていたので。できればそのうちノーラン編もやろうと思ってます。思ってるだけですが。
 度々話題にして恐縮ですが私にとって理想のディフェンスはマニングが手も足も出なかった頃のパッツディフェンスなんですが、今のノーランディフェンスはそれを髣髴とさせるものが有って本当に見ていて興奮します。ディフェンスにとって「恐怖」というのは非常に大きなファクターだと思いますが、実際には存在しないプレッシャーを与えるまでになれば勝ったも同然ですからね。次週は初のモバイルQB戦なので、これまで通りにはいかないと思いますが、うまくノーランがアジャストしてくれることを期待してます。
 村木→コエッターの流れは若いQBを育てるには理想的なのかもしれませんねー。ただこのままコエッターさんが成功したら、果たしてブランクオーナーが彼を手放すかどうかは微妙なところでしょうね。コエッターさんにとっても一度キャリアが地に落ちかけたところを救ってもらった形ですし。

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