現代NFLの世界にスマッシュマウスの居場所はあるのか

 敗戦の週はカレッジ観戦(@YouTube)がよく進みます。しかしフルゲームを投稿して下さってる人が去年にもまして多くなったようで、全部見ている時間なんてとてもないという。とりあえず見た中で一番気に入ったのはノースカロライナのTEエリック・イーブロン。あれは華がある。あと来年のドラフトとは関係ないけどオールミスのDEケムディチ君。あんなのがついこの前まで高校生だったとか何の冗談だ。何食ったらあんな身体になるんでしょう。


 さて一度雑感が消失したMIA戦、そのまま放置しようかとも思いましたけど、やはりスマッシュマウス好きとしてはこれだけは触れておきたいということで、スティーブン・ジャクソンを欠いたMIA戦のランオフェンスに焦点を絞って取り上げようと思います。


ランオフェンス トータル30キャリー(*)146ヤード  (* NO戦、STL戦2試合の合計も30キャリー)
ジャクイーズ・ロジャース 18キャリー 86ヤード
ジェイソン・スネリング 11キャリー 53ヤード
フリオ・ジョーンズ 1キャリー 7ヤード

 ということで前週STL戦でエースRBとスターティングFBを失い、ラン獲得ヤード36ヤード(1回平均2.3ヤード)だったファルコンズランオフェンス。そして一方ではリーグ屈指のレシービングユニットを擁するパスオフェンス。誰がどう考えたってこの試合は空中戦が軸になるだろうと予想するところ。しかしそんな当然の考えを嘲笑うかのようにランランランと攻めてきたコエッターさん、今孔明とはこの男のことか。実はスティーブンジャクソン欠場を早々に発表したことについては少なからず疑問もあったんです。「ぎりぎりまで明かさないほうが相手は対応に困るだろう」と。しかしファルコンズ陣営、あえて強力な武器を捨てて見せることで相手を油断させ、隠し持った暗器でそのスキを付くというイロコイインディアンもびっくりなゲームプランを用意してきました。
 MIA側が完全に読みを外されたこともあってこのゲームプランはドンピシャではまり、序盤から地上戦で試合をほぼ完璧に支配することに成功、タイムオブポゼッションでも圧倒できました(37分07秒、前半に限って言えば20分以上のポゼッションだったはず)。また準備の段階で圧倒的なアドバンテージを得たことを差し引いてもクイズとスネリングのパフォーマンスは素晴らしかったです。
 特にキャリアハイとなる18回持ったクイズはトータルラッシングヤードこそ86ヤード(平均4.8ヤード)とそこまで目を引く数字ではないですが、何より中身が本当に良かった。

この18キャリーの内訳は

2ヤード以下  2回
3~5ヤード  11回
6~9ヤード  5回
10ヤード以上 1回 

(注 Play-By-Playを見ながらの手計算のため誤差の可能性あり。ちなみに13ヤードのランが1回FBディマルコのホールディングで消されてます。)

 これ、何がすんばらしいって一番上と一番下の数字。昨年まで私がずーっとターナーを批判し続けてきたのは、何よりも2ヤード以下のランが多すぎたからなんですが、特に1stダウンにおける2ヤードゲインと3ヤードゲインの間にあるたった1ヤードの差はシアーノとフリーマンとの溝くらい深いもので、プレイコールの幅、選手への負担に雲泥の差が出ます。それでも'11シーズンのターナーは1300ヤード1回平均4.5ヤード走ったわけですが、これは1試合に1,2本出たホームランによる平均ヤーデージ詐欺のおかげにすぎず、地上戦の最も重要な要素である(と、私が考えている)「オフェンスのリズムの土台」にはなってくれていませんでした。昨シーズンに至っては言うに及ばず。
 さて翻ってこのクイズのスタッツ。大きなゲインは18ヤードが1回あるだけですが、持たせればどんな時でも3ヤード以上出してくれるというのがどれほど頼もしいことか、もう何年も忘れていた感覚でした。別に大きなランが少ないのがいいことだと言うつもりはないですが、決してスタッツ詐欺でないことに注目してほしいところ。確か以前野犬留置場のmentaiさんが、今はなきティーリッチの平均ヤードの悪さを擁護する際に「仮に平均3.4ヤードでも、どんな時も必ず3.4ヤードゲインするRBがいたら全チームが欲しがるだろう」といった趣旨の発言をされていたと記憶してますが、この日のクイズはまさにこれ(余談ですが昨年のオフにわかカレッジファンになってカレッジの試合を漁っていた時期、いくつもアラバマ大の試合を見ていてリッチとクイズは凄く似ていると感じたことをふと思い出しました)。また大昔にクイズのカレッジ時代を紹介したことがありましたけど、彼のハイライトであるUSC戦も確か10ヤード超のビッグランはほとんどなく、コンスタントに5ヤードランを40回、トータル200ヤード弱走ったと記憶してます(追記 調べたら37回186ヤードでした、最長は15ヤード)。MIA戦はもちろん走路を開いたブロッカーたちも評価すべきですが(特に全く期待してなかったFBディマルコは上記のホールディングがあったもののナイスブロックを連発)、やはりこの試合はクイズの個人技が光りました。
 近年オフェンスのインフレが進む中でRBもホームランヒッターがことさら持ち上げられている印象がありますが、原点回帰のパワーフットボールやこつこつゲインするアベレージヒッターにだって魅力はあるんだと強く主張したいところであります。ありますけど、結局それが勝利に繋がらなかった以上今は控えめに主張しておきます。今は。

 それからここまで絶賛しっぱなしでしたが、もちろん課題も残ります。それはゴール前。この試合ファルコンズはレッドゾーンで2度TDを取り損ねていますが、特に1つはゴール前2ヤード以内まで攻め込みながらFGに終わりました。このシリーズ最後はスネリングのノーゲインで終わりました。また結果的にTDになったシリーズですが、やはりクイズがゴール前1ヤードで突っ込んだものの1ヤードのロスになった場面もありました。ああいう相手がランが来るだろうと待ち構えているところに正面からぶつかって突破するのこそパワーフットボールの醍醐味ですし、何よりあそこで1ヤードを確実に取れるかどうかで得点力は格段に変わります。果たしてその答えがスティーブンジャクソンにあるのか、コンちゃん(の成長)にあるのかは分かりませんが、なんとか回答を見つけ出してほしいです。とりあえず今この瞬間一番ほしいカレッジ選手はオクラホマ大のベルドーザー。一芸さんは夢があります。

 またこれは課題というわけではないですが、今回は情報戦も含めたゲームプランがズッポリはまったことに加えて、MIA側がランディフェンスの中心選手であるDTポール・ソリアイを欠いていたということももちろん忘れてはいけません。いわば今回はどうぞ走ってくださいと何から何までお膳立てされていた状況だったわけです。幸か不幸か次のNE戦もスティーブンジャクソン欠場が決定していますから、今度は相手はランの脅威があると認識している状態なわけで、ここで走れるかどうか、それまではクイズ(とスネリング)の評価は保留せざるを得ません。果たして私の期待に応えてくれるのか、万一ホームラン抜きの100ヤードゲームなんてしたら壁紙化決定です。


その他雑感、今回は選手短評形式で

FBディマルコ・・・コックスコックスというのはひとまず封印

WRフリオ・・・なんでもないチェックダウンをファーストダウンにもっていくRACは反則としか言いようがないです。できればグライムスとのマッチアップも見たかったところです

TEトイロロ・・・プレ見ていたときはどうなるかと思ったブロックがここ2戦劇的に向上。そして初TDと、やばいこのままだとどんどんコフマンの居場所が、、、

LTホームズ・・・RTよりは明らかに動きはいい、ですがまだまだ不安定

RTトゥルーブラッド・・・ウェイク負傷退場の恩恵も多分にありますが、エマージェンシー要員としてはまずまず。LTにベイカーが戻った時ホームズとどっち使うか悩ましい

DEオシさん・・・2サックはもちろんですが、何よりどっちもファンブル誘発のストリップサックなのがお見事

LBデント・・・久々にものの見事にブロックされてビッグゲインを許したと思ったら、ブリッツから2サック記録。またこいつのキャラがよく分からなくなってきました

LBバートゥ改めジョップ君・・・相変わらずキレた動き

LBウォリロウ・・・ブリッツ専用マシン

LBニコラス・・・オワコン

CBアサンテ・・・故障明けとは思えないハイパフォーマンスでマイク・ウォレスをシャットアウト。アルフォード使った方が・・・とか最初ちらっとでも思ってすいませんでした

CBトゥルーファント・・・ゾーンカバーで受け渡しミスってTD献上。ああいうのは経験積んでいくしかないですね

Sデクー・・・昨年以上にタックルミスが目立つ今シーズン、そろそろいいとこ見せないと立場ないですよ

OCコエッターさん・・・故障者を逆手に取ったゲームプランはお見事。しかしレッドゾーンであと1ヤードが遠い。今一番欲しい選手はTJダケットかもしれません。あとあんだけランが出てるんだからプレイアクションもっと使え

HCスミッティ・・・そろそろペナルティが洒落にならなくなってきました


QBライアン・タネヒル・・・ボール持ちすぎは要改善ですが、ラストドライブの集中力は素晴らしい。前半ラストのツーミニッツも鑑みれば、あれはフロックとは思えない。本当に2012ドラフトはQB当たり年だったんですね。ウィーd

CBグライムス・・・主にロディとマッチアップ、敵に回して改めていい選手だと実感

DEキャメロン・ウェイク・・・早々に戦線離脱。どうせ負けるなら万全なウェイクをもうちょい見たかった


スポンサーサイト

この記事へのコメント:

管理人のみ通知 :

トラックバック: