2016シーズン振り返り リチャード・スミス
夜にもう一本記事あげる予定です。これから書きます。頑張ります。
DCリチャード・スミス
リチャード・スミス、と聞いて「誰?」と思う人はファルコンズファン以外では(もしかしたらファルコンズファンでさえ)多いんじゃないかと思います。誰あろう今年のスーパーに進出したチームのDCですよ。
とにかくSEAで最強ディフェンスを作ったクインの印象が強すぎてファルコンズディフェンスを語る時に全くと言っていいほど話題に上がらないのがこのリッチスミス(以下リッチ)という人物。私もファルコンズディフェンスのことをよく「クインディフェンス」と呼んでますが、実際のところプレイコールを出しているのは基本的にリッチさんの方、だったはず。(はず、と言うのは確かそのはずなんですが、調べてもクインがコールを出してない、あるいはリッチが出しているという情報が見つからなかったからです。以下の文章はリッチさんプレイコーラー説に基づいて展開しているのでもしクインがコール出してたら何の意味もなくなる恐れがあります。)
今年のファルコンズはオフェンスばかりが取り上げられてきましたがフットボールというのはオフェンスだけでは成り立たない。ディフェンスの方はどうだったのか、まずはチームスタッツを見てみましょう。
トータル リーグ25位 平均371.2ヤード
パス リーグ28位 平均266.7ヤード
ラン リーグ17位 平均104.5ヤード
スコアリング リーグ27位 平均25.4点
はい。まあ控えめに言ってもヘッポコディフェンスですね。ランだけは辛うじて見れる順位、と思いきやこれは数字のマジックでしてファルコンズオフェンスがどんどん得点重ねるもんだから必然的に相手チームは追いつこうとしてランをコールする回数が減ったんですね。平均では4.5ヤード出されており、これはリーグ26位の数字。今シーズンのファルコンズディフェンスは総合的に考えて下位と言って間違いないと思います。
とここまで見て今年のファルコンズはボロボロなディフェンスを抱えながら、それをすべて吹き飛ばすようなオフェンスの力だけで勝ちあがってきたチームだと思う方も多いことでしょう。あるいは先日投稿したポジションごとの振り返りを読んでいただいた方なら「なんだいろいろ景気の良い事言っておきながら、実際はこの程度のディフェンスなのか、ファンだからって劇甘に採点してたんだな」なんて感想を持つ方もいるかもしれません。
今年のディフェンスをトータルで見れば25位というのは事実。しかし個々の選手についての高評価は決して贔屓目によるものではないですし(全くないとは言いませんが)、また必ずしもオフェンスの力だけで勝ってきたわけでもないんです。
もともとファルコンズというのは伝統的にオフェンスのチームなんですが、特にスミッティ時代末期のディフェンスデプスは悲惨の一言でした。ドラフト外のウォリロウが簡単にスターターになれ、その座を脅かすものが誰もいない。DLはパスラッシュのパの字も知らず、FA選手は給料泥棒ばかり。期待の若手といえばトゥルーファントただ一人。とにもかくにも先発も控えも頼りない、貧弱すぎるデプスだったんです。
しかし今シーズン、ビーズリーがブレークし、ニール、ディーボ(気に入ったんで今後ジョーンズのことはこう呼びます)、キャンベル、プールといったルーキーたちが躍動しているのを見て、過去10年以上に渡っても記憶にないほど「タレント」にあふれたディフェンス陣であることに気づいてしまいました。もちろんDENやSEAのようにディフェンスの力だけで勝てるチームとは比較になりませんが、当社比では今世紀最高といっていいほどにタレントとデプスが充実しているといえるディフェンス陣なのです。
いやこの感動は長くファルコンズファンをやってる方くらいにしか伝わらないかもしれませんね。若く才能にあふれたディフェンスを見るというのがどれだけ貴重でありがたいことか。感涙一歩手前です。
ではなぜそんなタレントがいながらこのディフェンス成績なのか、という話ですがこれには様々な要因(たとえば大量リードのガーベッジタイムでの特に問題のない失点が多いことなど)がありますが、当然リッチスミスのプレイコールも大きな原因だったと思います。
今年のプレイコールはシーズン序盤、中盤、終盤、と3つの時期に分けられる、と私は思ってます。
まず序盤ですがクインディフェンスの基本であるカバースリーのゾーン守備を敷く。以上、終了。いや冗談じゃなくてこれだけなんです。あえて付け加えるならリード時は保守的に守り、3rd&ロングでも保守的に守るってことぐらい。俺にはこれしかできないんだからこれでやられるなら仕方ない、というある意味男らしい開き直りで案の定ボコボコやられました。この時期の数字がシーズンスタッツに大きく響いているのは間違いありません。
特にひどかったのが3rd&ロングでの超が付くほどのコンサバディフェンス。ラッシュは4メンのみ、CBもLBも大きく後ろにセットさせる守備で、アンダーニースがガッバガバになりチェックダウンからのRACでファーストダウン更新なんて場面が何度も何度もありました。
まあこれは昨シーズンからこんな感じだったんですが、去年はディフェンスのタレントがいないから仕方ない、と諦めもついたんです。しかし今年はその言い訳が通用しない。
そういうわけで「おいおいこのDCヤバイんじゃないの、せっかく守備にタレント揃ってきたのに」と思い始めたシーズン中盤、少しずつ変化が見え始めました。試合に前半ゾーンでボコボコやられたとなったら、ハーフタイム明けになんとマンカバーを使うようになったんです、とクララが立ったくらい凄いことのように言いましたが昨シーズンからほぼゾーン一辺倒だったので割と真面目に大きな変化です。実際これが効いて後半守備が改善する試合もありました。
そして終盤、LA,SFとかなり楽な相手2連戦になったあたりから、それまで滅多にやらなかったブリッツも頻繁にしかけるようになります。するとこれがおおはまり、続くCAR戦も含め3試合連続で失点を20点以下に抑え、最終戦のNO戦も大量リードに一役買いました(まあこの試合は終盤例によって超コンサバなプリベント守備を敷いた結果ブリーズの猛追を受けて冷や汗かきながらの逃げ切りになったんですが)。
このシーズン終盤の勢いはプレイオフでも継続し、SEA戦、GB戦ともに積極的にブリッツをしかけ、それが見事に功を奏し快勝につながりました。
つまり何が言いたいかというとリッチスミスのプレイコールはシーズン序盤から今に至るまでの間に大きな進歩を遂げているということです。ちなみにレギュラーシーズン通してファルコンズディフェンスがブリッツを入れたのは16.9%でこれはリーグ30位という少なさ。これがプレイオフ2試合ではブリッツ率36%と倍以上に増えているそうです。QBにプレッシャーを与えたプレイの割合も24.9%から44.9%に大幅アップ。
一時は本気でこのDCが敗因になってスーパーには届かないんじゃないかと思いましたが良い意味で予想を裏切り進化してくれました。
そして進化しているのはプレイコールだけじゃない、ディフェンスの主力はほとんどが伸び盛り若手ばかり、プレイコールと選手、両方の進化が合わされば、これからの数年間、そしてもっとすぐ手前にあるスーパーの舞台でディフェンスがまさかの結果を残す可能性も十二分にあるはずだと思っています。
おまけ
ゆるゆるゾーンに関するデータ的証明
The most passing yards allowed by NFL teams by area of the field. pic.twitter.com/JJDQeZJJut
— Pro Football Focus (@PFF) 2017年1月4日
これはパスを通されたエリアごとに一番ひどかったチームを指摘している表ですが、いかにファルコンズのアンダーニースがガバガバだったかよく分かるのではないでしょうか。今年のパスによる総喪失4267ヤードなので実に1/3以上がフィールド中央への浅いパスでやられていることになります。
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この記事へのコメント:
Liger : 2017/02/05 (日) 21:48:34
何れにせよ、あと10時間ちょっとで18年ぶりの大一番、SBのキックオフです。週明けは歓喜沸騰、SB制覇のエントリがアップされることをば、衷心より期待しております。
いざ征け加藤隼戦闘隊、愛国野郎どもをブチのめせぇ~!
GOooooooo Falcons!!!!!!!!!!
ほとら : 2017/02/06 (月) 01:00:11
今シーズンはCというポジションの大切さを強く認識させられましたね。QBにとってのCはピッチャーにとってのキャッチャーのような女房役ではないかと考えている次第です。
いよいよファルコンズの選手たちが夢の舞台に立ちますが悔いの残らないよう戦ってくれることを祈っています。
ONIGIRI : 2017/02/09 (木) 00:23:04
ほとら : 2017/02/10 (金) 07:14:33
いや洞察だなんてお恥ずかしい、そんなおだてても何もでませんよw
むしろあれだけコールが変わったんだからプレイコーラーも変わってるんじゃないか、というところにまで考えがいたらなかったのが残念でした。現実のミステリーってのは得てしてこういうシンプルな答えなんですよね。しかしせっかくリッチさん褒めたのに褒め損でしたw